被災地、さらに浸水・冠水の恐れ 地盤沈下に大潮重なる

 気象庁は17日、東日本大震災に伴う地殻変動で、東北から関東北部の太平洋沿岸は地盤が大きく沈下しているため、干満の潮位差が大きくなる「大潮」の満潮時間帯を中心に海岸や河口付近などで浸水や冠水の恐れがあるとして、警戒を呼び掛けた。
 当面、18日から26日までが大潮の時期に当たる。干満差が小さい時期より潮位が20~40センチ程度高くなる可能性がある。
 記者会見した同庁の渡部文雄海洋気象情報室長は「潮位変化はゆっくりなので、津波のような差し迫った危険はないが、海岸近くで作業する場合は満潮の前後1時間は注意を」と述べた。
 国土地理院の衛星利用測位システム(GPS)観測によると、大震災前と比べた地盤沈下の規模は、宮城県南三陸町で75.3センチ、同石巻市で67.4センチ、福島県楢葉町が57.8センチ、茨城県北茨城市は50.2センチに達した。
 地盤沈下により陸地に上がった津波の海水が引きにくく、捜索や復旧作業の妨げになったという。
 気象庁によると4月末までの大潮により注意を要する期間は▽3月18~26日▽4月1~11日▽同16~24日。