大船渡の津波23.6メートル 昭和三陸地震に匹敵

 東日本大震災の津波の高さが、岩手県大船渡市で23.6メートルに達していたことが23日、港湾空港技術研究所などの現地調査で分かった。1933年の昭和三陸地震津波で観測された大船渡市の最大28.7メートルにほぼ匹敵する。  国内観測史上最大は、明治三陸地震津波(1896年)の38.2メートルとされる。2004年のスマトラ沖地震津波では、34.9メートルの津波の痕跡が見つかっている。  同研究所の戸田和彦特別研究官は「震源との位置関係などがあり単純比較はできないが、明治三陸地震当時より防波堤などの設備が整った中で出た津波のデータ。明治の津波より、今回の方が規模が大きかった可能性がある」としている。  同研究所は、国土交通省の要請で青森、岩手、宮城の東北3県で港湾施設などを調査。被災した建物に残る浸水の跡や住民の証言などに基づき規模を割り出した。  大船渡市の綾里で23.6メートルのほか、宮城県女川町14.8メートル、岩手県久慈市13.4メートル、岩手県釜石市9.0メートル、青森県八戸市8.4メートルに達したと判定した。  気象庁によると、津波の高さが2メートルを超すと木造家屋は全面破壊。鉄筋コンクリートビルは4メートル程度までは耐えられるが、16メートルを超すと全面的に破壊されるという。  一方、同庁は大震災後、データ電送が停止していた検潮所の津波観測値を公表。岩手県宮古市8.5メートル以上、大船渡市8.0メートル以上で、津波被害により正確に観測できなかった可能性がある。