霧島山・新燃岳でまた爆発的噴火 火口に溶岩ドームが出現

 52年ぶりに爆発的噴火を観測した霧島山(宮崎、鹿児島県)の新燃岳は28日午後も噴火活動を続け、午後0時47分には再び爆発的噴火、噴煙が火口から約千メートルの高さまで上がった。  鹿児島地方気象台によると、火山性微動は増減を繰り返しながら続いているが、やや小康状態になっているという。  また、午前に東大地震研究所が上空から観測した結果、火口の中央付近に直径数十メートルの溶岩ドームが出現し、その一部が赤熱しているのを確認した。  同気象台によると、地下のマグマが地表に達してできたもので、火口の深さが数百メートルあることから溶岩が流れ出す可能性は現時点では低いとしている。  火口湖が消失し、火口の南西側には小規模な火砕流が約500メートル流れ出した跡が確認された。同気象台は引き続き警戒を呼び掛けている。 <新燃岳、189年ぶりマグマ噴火 予知連会長が言及>  霧島山・新燃岳の噴火について、火山噴火予知連絡会長の藤井敏嗣・東大名誉教授は28日、共同通信の取材に対し、地下のマグマが上昇して噴き出したことによる「マグマ噴火」であるとの見方を示した。  藤井名誉教授らによると、本格的な火山活動といえるマグマ噴火は、新燃岳では1822年以来、189年ぶり。  今回の噴火は、1959年以来、52年ぶりの爆発的噴火となったが、59年の噴火はマグマそのものの噴出は確認されておらず、マグマが周囲の地下水に触れることなどで起きる「マグマ水蒸気爆発」か、地下水が熱せられたことによる「水蒸気爆発」だったとみられている。  藤井名誉教授は、発泡した軽石が今回は飛んでいることなどから「本格的なマグマ噴火」と指摘。「今回の活動は59年の噴火のレベルを超えている」とした上で「さらに活動規模が大きくなる可能性も否定できないが、現時点では見通しがつかない」と説明した。  さらに「噴石の危険があるので、規制範囲にとらわれず、山にはできるだけ近づかない方がいい。外出する際は頭を保護するヘルメットなどを着用すべきだ。大量の降灰で土石流も起きやすくなっている」と警戒を呼び掛けた。