列島の空、金のリング 広範囲、900年ぶり

 太平洋側を中心とした日本の広い範囲で21日朝、太陽の中心部が月に隠され、細いリングのようになる金環日食となった。日本では1987年の沖縄以来25年ぶりで、今回のように広範囲で見られるのは平安時代の1080年以来となり932年ぶり。東京、名古屋、大阪などの大都市を含む史上まれな天文ショーとなった。
 リングの形状は最大約5分継続。曇りがちな天気のもと、各地で観察した人たちから拍手と歓声が上がった。リングの細い部分が月面の凹凸により途切れ、ビーズが連なったように見える「ベイリービーズ」と呼ばれる特徴的な現象も福島県南相馬市などで観測した。

<日食で地表の気温が0.6度低下 京大観測>
 滋賀県甲賀市にある京都大生存圏研究所の信楽MU観測所で金環日食の前後、地表の気温が0.6度下がったことが、同研究所の古本淳一助教のグループの調査で21日、分かった。
 古本助教は、金環日食で日射が遮られたためとみており、「通常、朝方は気温が上がり調子になるのに、20分程度でこんなに下がることはめったにない」と話した。
 グループが、観測所で24時間毎日実施している地上観測で気温や気圧などを調べたところ、金環日食になる約10分前には15.0度だったが、金環日食の20分後には14.4度になった。日食の終了後には、気温は大きく上昇した。