太平洋側各地に津波 52万人に避難指示

 南米チリで27日に発生したマグニチュード8.8の巨大地震で28日、北海道から沖縄の太平洋側各地に津波が到達した。岩手県大槌町によると、大槌港で1.45メートルの津波があった。気象庁は、岩手県の久慈港と高知県の須崎港で1.2メートル、仙台港で1.1メートル、北海道根室市の花咲港で1メートル、青森県の八戸港で90センチの津波を観測。  北海道の花咲港や岩手県の久慈港、長部港、両替港、宮城県の気仙沼港などで冠水した。千葉県鴨川市の加茂川河口では、海か  らの波が川をさかのぼる現象を確認、津波の影響とみられる。  気象庁は、3メートルの津波の恐れがあるとして午前9時33分、青森県から宮城県にかけての三陸地方の沿岸部に大津波警報を発表。約9時間半後の午後7時過ぎ、津波警報に切り替え、3月1日未明に注意報に変更した。  警察庁によると、人的被害の情報は入っていない。

共同通信のまとめでは、10都道県の計19万9千世帯、約52万2千人に避難指示が出た。北海道から九州にかけての太平洋側沿岸を中心にJRが運転を見合わせるなど交通機関に影響が広がった。

 気象庁は、三陸地方以外の太平洋沿岸全域と日本海沿岸の一部に津波警報を、北海道のオホーツク海沿岸や中四国の瀬戸内、九州の一部沿岸などに津波注意報を出した。警報は1日午前1時過ぎまでに高知県を除きすべて注意報に切り替えた。

 大津波警報が発表されたのは北海道・奥尻島が津波に襲われた1993年の北海道南西沖地震以来で、警報基準ができた52年以来4回目。

 気象庁地震津波監視課の関田康雄課長は記者会見で「最初の波の後に数倍程度の大きな波が来る傾向があり、60年のチリ地震と同じだ」と指摘した。

 60年のチリ地震(M9.5)では、地震発生から約22時間後に日本の太平洋沿岸を1~4メートルの津波が襲い142人が死亡・行方不明となった。

(写真は海水が流れ込み冠水した気仙沼市街=28日午後4時10分)